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マイクログリッドの未来:ジョージア工科大学によるモデロンのデジタルツインでの設計検証

Guest Blog - Michael Balchanos, PhD June 10, 2020

ジョージア工科大学の Aerospace Systems Design Laboratory (ASDL) は、産業界と学術界との間で生じやすい研究視点のギャップを埋めるために1992年に設立され、今では航空宇宙システムや複雑なシステム設計などの領域において米国内トップレベルの研究機関の一つとなりました。 ASDL の「グランドチャレンジ (Grand Challenge) 」プロジェクトは、産業界や政府による真のニーズに駆り立てられた正解がない課題です。プロジェクトの主な目的は、チーム単位のクラスプロジェクトで航空宇宙システム工学の理論的な原則を応用することであり、 ASDL の年次外部諮問委員会会議で政府や産業界の代表に対してプレゼンテーションを行い交流する機会を学生に提供することです。

今年のグランドチャレンジチームの一つは、マイクログリッドアーキテクチャを使用してマイクログリッドと建物の両方のレベルで様々なインフラや動作条件の変化に対する仮説のシナリオベースの分析を可能にすることで、効果的な建物のエネルギー管理の方法を探求しています。モデロン社のソフトウェア技術は、省コスト性や外部要因(天候や停電など)に対する強靭性、環境への影響を考慮したマイクログリッド設計の最適化のサポートに役立ち、一方で、需要と供給の両サイドのモデリングにおける ASDL の過去の取組みを活用しながら、建物のエネルギー管理を目的としたデジタルツインの基盤を提供してくれました。

過去半世紀の間に、米国のエネルギー消費量はほぼ 2 倍に膨れ上がり、今後もその量は増加し続けることが見込まれています。その結果、高まる需要を満たすために、電力ユーティリティ企業には電力生産量の劇的な増強が余儀なくされてきました。米国のエネルギー消費量のわずか 11% しか再生可能エネルギー源でまかなえていないため、この需要に対する環境への影響は重大です。一方で、送電線と変圧器の劣化によって、過去 20 年間に起きた天候が原因で停電した回数は 7 倍にも増加し、毎年 200 ~ 500 億ドルもの修復コストが発生しています。

分散型電源は、ピーク電力必要量の低減や、無効電力などのアンシラリーサービスの提供、電力品質の改善を通じて、電力の信頼性やサステナビリティを向上させるために有望なソリューションで、建物の管理者はマイクログリッドを建物のエネルギー管理に導入し始めています。

マイクログリッド (Microgrid) とは一体なんなのでしょうか?端的に言うと、マイクログリッドはローカルな蓄電システムと発電システムで構成されていて、柔軟性の向上や電力消費のコントロールを可能とするシステムです。

マイクログリッドの設置量が増えるにつれ、意思決定支援機能の必要性が高まっています。効果的なエネルギー管理のために推奨される戦略により、マイクログリッドと建物の両方のレベルで様々なインフラや運用条件の変化に対して仮説のシナリオベースの解析が実行できます。エネルギー資源の効果的な管理は研究の対象となっており、現在のほとんどの手法では、需要側と供給側の 2 つの側面から課題に取り組んでいます。

  • 需要サイドのアプローチは、負荷(重要負荷、遮断可能負荷、調整可能負荷)を分割し、ピーク対平均電力比の低減のために電力を効果的に消費する時期、またはグリッドから低価格で独占的に購入する時期についての戦略を実装することで、エネルギー需要を効果的に制御しようとしています。
  • 供給サイドの管理は、電力をグリッド内の発電設備(ソーラーパネル、ディーゼル発電機、風力タービンなど)による発電、電力貯蔵、また電力を上位系統と売買するタイミングを調節することになるでしょう。

グランドチャレンジ:企業本社ビル向けに マイクログリッド を最適化

このグランドチャレンジチームの目標は、建物・マイクログリッド間の SoS (System of Systems) の運用最適化とインフラ計画を特にサポートするパラメトリック意思決定支援環境を作成することでした。これは、電気自動車の充電機能、運用の最適化、インフラストラクチャの計画に焦点を当てた 3 つのケーススタディを通じて実証されました。ベースライン構成は、マイクログリッドに接続された物理的な建物であり、実際の電力消費データも利用できます。つまり、これらのリソースを利用できるようにすることで、建物・マイクログリッド間のデジタルツイン開発アプローチが策定され、迅速でパラメトリックなトレードオフが可能になり、実際のエネルギー性能データセットに対してモデルが調整することができました。建物のデジタルツインは現実の建物からの情報によりリアルタイムでキャリブレーションすることができ、効果的な管理に関する日々の推奨事項を提案したり,インフラの変更計画がエネルギー管理に与える影響を予測したりするのに使うことができます。戦略のパフォーマンス指標としては、エネルギーの強靭性(系統からの独立性)、コスト効率、環境への影響(ビルの電力供給におけるカーボンフットプリント)などが挙げられます。

検討中のベースラインとなる建物のエネルギーインフラは、マイクログリッドの要素だけでなく、太陽電池アレイと 1 MWh の電池アレイをも統合します。それには、総電力使用量を収集するパワーセンサ、多様な暖房、換気、エアコンシステム、可変風量ボックス (VAV)、データセンター、屋外に設置された放射照度トラッカーが含まれます。 Modelon Impact と Modelica 言語で実装されたマイクログリッドコンポーネントのセットは、モデリング&シミュレーション環境開発のバックボーンとなっています。このライブラリは検証済みの物理ベースのモデルのほか、最適化アルゴリズムのソースでもあり、高速シミュレーションの実行時間を活かしてより効率的な運用プロトコルの迅速な検討をサポートしました。ASDL の代用モデリング技術はシミュレーションの実行時間を短縮する上で重要であり、 Pandas や Tensor のフローライブラリで予め記録されたデータの可搬性を Python API の使用によりさらに可能になり、 50 以上のオンサイトセンサが 365 日いつでも読み取りできるようになりました。

モデロン社のツールはシミュレーション機能が素晴らしく、技術パートナーとして同社には、このプロジェクトで計り知れないほどのサポートをしていただきました。同社の特定分野に精通した専門家たち (subject matter experts, SEM) には、チュートリアルの実施や、貴重な成果・ノウハウ・ベストプラクティスの共有を通して私たちの学習曲線を加速していただいたため、想定していたよりも早く前進することができました。モデロン社のチームは世界中から選りすぐりのメンバーで構成されているため、当初要求していた時間内で対応いただきました。私たちはこのパートナーシップを今後も継続し、より大きな成果を生み出せると信じています。

ジョージア工科大学の Aerospace Systems Design Laboratory について

Aerospace Systems Design Laboratory (ASDL) は 25 年以上もの間、政府や民間企業のパートナーとともに研究プロジェクトを実施した経験があり、過去10年間で1億ドル相当の新しい方法とツールの研究を行い、修士・博士過程の学生を含めると 250 人もの研究者がいる組織へと成長してきました。過去25年間で、ASDLはパラメトリックシミュレーションツールセットの統合を合理化する特徴的な方法を開発し、不確実性の下での大規模な設計空間の探索と最適化を容易にする大幅なランタイムの改善を可能にしてきました。 ASDL は、ジョージア工科大学のダニエルグッゲンハイム航空宇宙工学部の一部です。

ジョージア工科大学の Aerospace Systems Design Laboratory について詳細はこちらから: http://www.asdl.gatech.edu/.

InstagramTwitter でのフォロー: @asdl_gatech

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