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定常シミュレーションと動的シミュレーション:その違いは?

Clément Coïc March 3, 2021

弊社の Clément Coïc(Senior Simulation Engineer)が定常シミュレーションと動的シミュレーションの違いを掘り下げていきます。どんなときに定常シミュレーションを実行し、どんなときに動的シミュレーションを実行するのが望ましいのかを、本ブログにてご紹介いたします。

海岸を走るオープンカー

オープンカーで海岸沿いをドライブしているところを想像してみてください。風が髪の中を駆け抜けていき(十分な髪があればですが)、道路の凸凹や海風に合わせてハンドルを操作しています。旅行の途中で給油に立ち寄ったときに、ふとエンジニアリング的な興味が湧いてきました:

  • 途中で給油をしなくても良いためには、ガソリンタンクのサイズはどれ位が最適だろうか?
  • 旅行中の燃費を良くするためには、どのような加速をすれば良いのだろうか?
  • 停止状態から制限速度まで達する時間は、どれ位だろうか?
  • 風の抵抗などの周囲の環境は、この車の燃料消費量にどの程度影響を与えるだろうか?

このような疑問は、Modelon Impactで定常シミュレーションや動的シミュレーションを実行することで解を得ることができます。例えば対象が電気自動車、飛行機、先進的なエネルギー貯蔵システムのいずれの場合でも、様々な条件で目標を満たし最適に動作するシステムを設計することは、すべてのエンジニアが直面する課題です。

そのような課題の解決のために、エンジニアには様々なシステムの表現方法の中から適したものを選定し利用することが求められます。今回紹介する定常シミュレーションと動的シミュレーションも、その中のひとつです。では、定常シミュレーションと動的シミュレーションの違いは何でしょうか?簡単に言うと、定常とは対象システムが平衡状態を保っていて変化しない状態のことを、動的とは現在の状態がそれまでの時間変化によって決まっていることを意味します。それぞれのシミュレーションについて、さらに詳しく見て行きましょう。

定常シミュレーションとは?

システムに対する要求仕様には定常状態での要件のみが記載され、その状態に到達するまでに関しては何も記載がないことが良くあります。例えば上り坂での所定の速度での燃料消費量を求める場合には、その状態に到達するまでの加速が穏やかであったのか急激であったかについては問われません。

定常状態とは、位置や姿勢等が定められているのではなく、その振る舞いが規定されています。例えば車両であればその速度が一定の場合、油圧システムの場合にはオイルが定常流の場合が該当します。振り子の場合には、振動が一定の場合もそれに該当することがあります。

製品またはシステムは、その要件を満たすように設計されています。システムに対する仕様の大部分は定常状態の要件となっているにもかかわらず、多くの人々がそれに対して動的シミュレーションを用いて解析しているのを見て驚かされることが多くあります。定常シミュレーションの結果が、動的シミュレーションの最後で平衡状態に至った際に得られることは明らかです。ただし、ひとつの変数の結果だけで判断するのではなく、システムを構成する全ての状態変数が定常状態に到達していることを確認する必要があります。

定常シミュレーションの有用性

定常シミュレーションは生産性を最大化します。桁違いの早さでダイレクトに結果を得ることができ、またその結果は時刻歴を有さないためシンプルです。よって問題を最初から定常状態として定義して解くことは有益なことです。パレートの法則のように、20%の労力で目標の80%に到達することができるのです。得られた定常状態での結果を外挿して利用することにより、数多くの点での結果を推定することができます。

Modelon Impact には定常シミュレーションが実施できるソルバが用意されており、且つ併せてエンジニアリング的な知見を追加した物理ベースの技術を備えているため、定常シミュレーションをより高速且つ非常にロバストに実行できます。これにより、1つのモデルで複数の設計課題に対応することもできます。

動的シミュレーションとは?

次に動的シミュレーションの利点と有用性についてみてみましょう。すべての要件が定常状態のものであるとは限りません。動的シミュレーションにより、エンジニアは変更に応じてシステムがどのように動作するかを調べることができます。アクセルペダルを踏むと、車が加速するまでに少し時間がかかることがよくありますが、この遅延動作は、動的シミュレーションで捉えることができます。

タンク内の燃料がエネルギー源であるため、車を加速させることはすなわちその燃料を燃焼させることを意味し、その結果タンク内の燃料が減少します。海岸に沿って走行できる距離を最大化するために最適な加速方法を求める問題は、動的な最適化問題になります。

エンジニアがある運転サイクル全体を通じたシミュレーションを実施し、燃料消費量やCO2発生量を求めることも動的シミュレーションが必要になります。故障や障害につながる恐れがあるか否かについても動的シミュレーションによる過渡応答で判断でき、定常シミュレーションでは得ることができません。動的シミュレーションでは、そのシミュレーション内での各変数がどう変化するかを知ることができます。定常シミュレーションではひとつの動作点のみを見ているのに対し、動的シミュレーションでは時間に沿った連続的な変化を見ることができます。

動的シミュレーションの有用性

動的シミュレーションは、多くの問題においてその目標を達成するために不可欠な手法です。例えば運転サイクルに沿って動作させた際のエネルギー消費量の削減、駐車操作中の操舵に必要な力の算出、オープンカーのルーフトップ開閉に要する時間をはじめとする制御システムの動作評価などが、その対象として挙げられます。オープンカーにおいて、コントローラの設計が適切でないために動作途中で停止し、ルーフトップが半分開いたままになっている状態を想像してみて下さい。故障や障害を引き起こすシステムの応答は、システムの定常動作ではなく、過渡応答に注目する必要があります。

Modelon Impact-定常及び動的シミュレーションの両方に対応

エンジニアは定常シミュレーションと動的シミュレーションの双方の利点と有用性を理解している一方で、ソフトウェアプロバイダーはそれぞれに適したツールを開発することで対応してきました。その結果、残念ながら双方の手法の間には壁が出来てしまいました。本来ならばこれらは同一のツールであるべきです。Modelon Impact は双方のシミュレーション機能を提供することでこの障壁を取り除き、ユーザが解決しなくてはならない問題に対して単一のツールで正確なソリューションを提供します。エンジニアが抱える問題は、Modelon Impactで解を得ることができるのです。

Modelon Impactの定常/動的シミュレーション機能に関してさらに質問がある場合は、こちらまでお問い合わせください。

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